新潟県公安委員会は、乗用車を運転して交通事故を起こした70代の男性に対
し、−認知症−の疑いがあるとして、60日間の免許停止処分にしました。
新潟県警によると、この男性は、五泉市内において普通乗用車を運転し、反対
車線にはみ出して対向車と衝突し、相手の70代女性に軽傷を負わせて現場から
立ち去っていたもので、警察がこの男性を特定し、事情を聴いたところ、供述が
一貫しないことなどから認知症が疑われ、今回の処分となったものです。
この男性は、同じことを何回も繰り返して話すようになり、医師の診察を受け
ていたとのことです。
☆ 法的根拠
この行政処分の根拠となった法律は、昨年6月1日に新たに施行された
道路交通法第103条第1項第1号
に定める
「病気、身体障害、中毒を理由とした免許の処分」
で、
○ 統合失調症 ○ てんかん ○ 再発性の失神
○ 無自覚性の低血糖症 ○ そううつ病
○ 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
また、これらの他、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操
作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状(認知症など)に該
当することとなったときは、公安委員会は、基準により、1年間の欠格期間を指
定してその者の免許を取り消し、または、6か月を超えない範囲内で免許の効力
を停止することができるとしています。
これに関して、道路交通法第104条の4第1項には、免許取消し(返上)の
申請ができると規定しています。
従来は、「加齢に伴う身体機能の低下などにより運転を継続する意思がなく免
許を返上したい。」という場合や「大型免許は不要だが原付バイクは利用したい
ので原付免許だけ継続したい。」という場合に、これらに応える規定はなかった
のですが、平成10年の改正で現在は可能となっています。
ただし、本人の申請が原則であり、たとえば、本人の意思が確認できない状態
で、その家族の者が本人に代わって申請することはできません。
ここ数年は、高齢者による高速道路の逆走、ブレーキとアクセルの踏み違いに
よる死亡事故や店舗への突入など、加齢に伴うさまざまな機能の低下が疑われる
事故が全国で多発しています。
これから益々高齢化社会が進みます。
こうした高齢者の方の交通事故を防ぐには、やはり「家族の決断」が重要にな
っているようです。
本人は「まだまだ」と言っていても、事故を起こしてからでは遅いです。
車の鍵を取り上げたり、車を処分したりと周囲も危機感を持つ必要があると専
門家は訴えています。 |